口が乾燥することによる弊害
ドライマウスの症状とは?

水を飲んでも口の中の乾燥が解消されない場合は、ドライマウス(口腔乾燥症)の可能性があります。
ドライマウスは生活習慣や病気などの様々な原因により発症し、虫歯・歯周病の悪化や、口臭が強くなるなどの様々な弊害が引き起こされます。
今回は、ドライマウスの症状について詳しくご紹介していきます。
そもそもドライマウスって?
ドライマウスとは、水を飲んで解消されるような一時的な乾燥ではなく、常に口腔内の乾燥が続く状態のことを言い、「口腔乾燥症」とも呼ばれます。
女性に多い病気で、日本では約800万人が罹っている現代病のひとつです。
常に口の中が乾燥している状態が続くのは、唾液量の減少が関係しています。唾液の分泌量が少なくなる原因には、以下のようなことが挙げられます。
唾液が減少する原因
- 食生活の偏り
- ストレス
- 喫煙
- アルコールの過剰摂取
- 口周りの筋肉の衰え
- 薬の副作用
- 口呼吸
- 更年期障害
- ドライマウスに関わる疾患
(シェーグレン症候群、糖尿病、更年期障害など)
ドライマウスの症状
ドライマウスになると、口腔内の乾燥以外にも様々な症状が現れます。
軽度の場合は口のネバつきや口臭が気になる、虫歯・歯周病のリスクが高まるといった程度ですが、重度になると口臭はより強くなり、味覚障害や発音障害など、日常生活に支障をきたすような症状が引き起こされます。
1虫歯・歯周病の悪化
唾液には、口の中の食べカスを洗い流して殺菌する役割があります。
しかし、唾液が減少してドライマウスになると、食べカスは洗い流されず口に残ったままとなります。殺菌作用も低下するので、虫歯菌や歯周病菌が増殖してしまいます。
虫歯菌や歯周病菌が殺菌されないまま口腔内に残る
酸や毒素をどんどん畜産し
虫歯や歯周病を悪化させてしまう
2味覚障害
食べ物の味を感じることができるのは、舌の表面にある味蕾という器官で味の情報を受け取っているためです。
唾液は食べ物の味成分と混ざり合い、味の情報を味蕾へ届ける重要な役割を担っていますので、ドライマウスにより唾液が減少すると、味覚障害を引き起こしてしまいます。
ドライマウスで味覚障害が起こるメカニズム
唾液が少ない
味蕾に情報が届けられない
味蕾が機能せず
何を食べても味を感じることができない
3嚥下障害
パンやおせんべいなどの水分の少ない食べ物をスムーズに飲み込めるのは、唾液が食べ物を柔らかくして食塊(しょっかい)という塊を作り、飲み込みやすくしてくれるおかげです。
そのため、ドライマウスにより唾液が減ると、食べ物を飲み込む力が衰える嚥下障害を引き起こします。
ドライマウスによる嚥下障害
- 喉が詰まる
スムーズに食べ物を飲み込むことができず
喉に詰まったような感じがする - 水分がないと飲み込めない
水分を採りながら食べないと
食べ物を飲み込めなくなる - 乾燥したものが飲み込めない
パンやクッキー、おせんべいなどの水分の少ない食べ物を飲み込めない
4舌の痛み
唾液には自浄作用や殺菌作用があり、常に口腔内の衛生を保っています。ところが、ドライマウスになると唾液の自浄作用が低下し、口の中の細菌が増殖してしまいます。
口腔内細菌が増殖すると・・・
舌に痛みが出たり、唾液による潤いがなくなって
口の中の粘膜が傷付きやすくなります。
5口臭の悪化
唾液には口腔内の衛生を保つ働きがあります。そのため、ドライマウスになると口腔内で細菌が増殖し、ニオイのもととなる揮発性硫黄化合物(VSC)が発生して口臭が悪化してしまいます。
揮発性硫黄化合物(VSC)とは?
揮発性硫黄化合物の主要原因物質は、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドという3つの気体です。
臭いの感じ方には個人差がありますが、それぞれ以下のような臭いを呈すると言われています。
硫化水素(H2S) | 卵の腐ったような臭い |
---|---|
メチルメルカプタン(CH3SH) | 腐ったタマネギのような臭い |
ジメチルサルファイド[(CH3)2S] | 生ごみのような臭い |
6口内炎
唾液の分泌量が少ない口腔内は、細菌やウイルスに対する抵抗力が低下した状態です。
ドライマウスにより
短い周期で再生するはずの口粘膜の再生が進まない
口内炎ができやすくなる上
できてしまった口内炎の治癒も遅れてしまう
7発音障害
唾液は食べるときだけではなく、話すときにも重要な役割を担っています。唾液によって口腔内は潤い、その潤いこそが舌を円滑に滑らせて発音を助けてくれているのです。
唾液が少ないドライマウスの状態では・・・
舌の滑りが悪くなり
上手に発音することができなくなってしまいます。
ドライマウスを改善するには?
ドライマウスへの対処法は、ドライマウスを引き起こしている原因により異なります。
生活習慣が原因で起こるドライマウスの場合は、日常生活における問題点を洗い出し、自発的に改善していく必要があります。
日頃から行えるドライマウス対処法
- 噛み応えのあるものを食べる
- こまめに水分補給をする
- アルコールは適量に抑える
- 口呼吸ではなく鼻呼吸を意識する
- ストレスをためず、リラックスできる時間を設ける
また、病気や薬の副作用によるドライマウスの場合、セルフケアだけで改善することは困難です。
ドライマウスが重大な病気の一症状である可能性もあります。症状が重い、あるいは長引くという場合には早めに医師に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。